台座付きキーホルダー「Keypot」

 真鍮製仏具全国シェア9割を占める富山県高岡市の、伝統工芸職人の銅器着色技術によって実現した味わい深い色を纏ったキーホルダーです。仏具のまちから発信するプロダクトとして、仏具に馴染みのない方にも、優れた職人の手仕事に触れていただきたいという想いを込めて開発しました。

 可能な限り単純化した形状、台座があることで生まれる所作に加え、玄関に置くオブジェとしての美観にもこだわりました。

 毎日のように手にするアイテムだからこそ、日々に寄り添うキーホルダーを目指しました。

かさばらない。

持ちやすい。

シンプルな形状。

 キーホルダーは、日常での利便性を追求し、嵩張らないシンプルな形状を探しました。誰もが一度は持ったことのある、鉛筆の太さを参考にして直径8mm棒形状としています。

 この形状により、例えば、バッグのペンホルダーに差し込むことができます。バッグの中で鍵が迷子になることもありません。他にも、パンツのコインポケットに棒を差し込むなど、自由に楽しんでいただけます。

花を生けるように。

一輪挿しの佇まい。

 棒形状を生かして、差して立てて置けるように台座を設けました。キーホルダーの定位置が決まることで鍵の所在忘れ防止になるだけでなく、「いってきます」と「ただいま」に所作が生まれ、オンとオフの切り替えになると考えました。

 さらに、玄関に置かれる一つのオブジェのような美観を持ち合わせることはできないだろうか、と考えました。様々な形状を試した結果、安定感と凛とした佇まいを両立する鉢型としました。花を生けるような所作は心を落ち着かせてくれる、そんな気がするのです。

職人による

手仕事の色と手ざわり。

 着色は、高岡市内の着色所「色政」四代目・野阪和史氏に依頼しました。四百年以上続く高岡銅器の歴史の中で紡がれてきた伝統的な着色技法を踏襲しながらも、革新的な作品づくりにも参画して新たな可能性に挑戦し続けている着色師の一人です。古代着色技法を基本に、漆と新たな顔料を合わせた塗料を開発し、これまでにない色を創り出すことに成功しています。さらに、技法や工程の試行錯誤を繰り返し、製品化に至りました。

 ぜひ、職人による手仕事の色と手ざわりを感じていただけたら幸いです。

表情の変化を

育てるように楽しむ。

 例えば、ジーンズのように、自分仕様に色落ちさせたそれは唯一無二であり、それが愛着につながります。同じように、銅器着色の色落ち(表情の変化)を楽しみ、育てるように使っていただきたい。そんなキーホルダーを目指しました。

 さらに、色落ちが進んだ場合には「色づけお直しサービス」を整え、色を再び楽しみながら、使い続けることができるキーホルダーを実現しています。もちろん、色落ちが進み、素材である(生地の)真鍮の味わいを楽しんでいただくことも趣があります。

※画像は4カ月使用の一例です。取り付ける鍵の数や使い方によって色落ちによる表情の変化は異なります。使用開始から1カ月ほどは、鍵の当たる部分を中心に色落ちし(素材の真鍮の金色が現れ)、その後は安定し、ゆっくりと変化していきます。